イスカリオテ

イスカリオテ (電撃文庫)

　読了。
　感想としては、三田さんらしいな、と。
　例えば、女性の美しさを褒めるにあたって、"大理石も額縁になる"というような表現をする人です。しかも幾つも並列にして並べるので、これでもかこれでもかというほど褒めます。一方で、おぞましさも同じような喩え方をして、これでもかこれでもかとおぞましさをアピールします。
　主人公がモテモテな気がするのも相変わらず。でも、レンタルマギカよりこっちの方が自然なモテ方ですね。主人公も英雄(?)ですから。
　面白いのは主人公の中の性格と外の性格が正反対という点。しかも"ほぼ"完璧にそれを演じ分けているところ。加えて戦闘も相変わらず面白いです。
　ストーリーの内容を一語で言うと、"欺き"。色んな人が欺かれたまま進んでいきます。ともすれば、読者さえ欺かれているかもしれませんが……。
　タイトルからも分かるように下地にあるのはキリスト教。広く言えば英雄史とか神話とか伝承とか。そういうものが好きな人にはお勧めです。
　幾つかの謎が片付きつつも、幾つかの謎を残したまま次の巻へ。来月はレンタルマギカとイスカリオテの同時刊行ですよ。