恨みと失敗だけは人一倍長く覚えている気がする。憂いことだ。
そうでなくとも、一度覚えてしまった記憶は長々と後までついて来ている気がする。
相手がそれを忘れていようとも、ね。
時々そういうことに軽薄で何食わぬ顔をして現れる人がいるけども、外面(そとづら)だけで取り繕うのも疲れる。とはいえ、そういうものが年長者の付き合い方なのだろう。なんとかったるい。
とはいえ、実際には怒る気力さえないというのが正しいのかもしれない。波を立てずにいる方が今後のため、か。相手に回顧を願っても仕方あるまい。何を今更と思われるまで。
だとしても、自分自身がそれを払拭できるというわけでもないけども。
寝て冷めて忘れるのは、感情の強さだけ。存在そのものが消えるわけではないのだ。まったく、中途半端でならない。それで小学校まで遡るのだから、馬鹿馬鹿しいな……。