賞を取ったということで有名になった「あたし彼女」なる小説ですが。
http://d.hatena.ne.jp/konaken/20080927/1222520200
- 「あたし彼女」現代語訳
こういうものがあったので読んでみました。
(ところで著作権についてですが、こういう"訳"は危ないんじゃないでしょうか?)
ちなみに原文はトップページだけ。
個人的には、ああいう系統は小説ではなく長い詩だと思っていますので、長々と読むべきものではないという認識です。せいぜい長くても10行でしょうか。詩なら、文体も作風も書き方も味として許容できるのですが。
─以降ネタバレを含むので「続きを読む」から─
さて、内容ですけど。
こういうとき、批判から先に頭に浮かんでくるのは何故でしょうね。
……どうしても批判的な視点で物事を見てしまうのです。
とりあえず、先に批判から。くどくど書くのも何なので、箇条書きで。
・年齢設定が高すぎやしないか(この年齢で母親に泣きつくということが書きたかったのだとすれば、これもまた一興か)
・セフレのくだりは蛇足ではないか("初めて好きになった人"という言葉に重みを持たせたいのだとするならありですが、それならもっとそういう書き方をした方がよいのでは)
・主人公が自己中心的ではないか(トモの気持ちを考える描写が少ないため。"訳"で省かれているのかもしれません)
・主人公が病院から出てきたときのトモの発言が理解できない(いくらなんでもあれは勝手過ぎる。一体どういった心情ならあんなことが言えるのか、分かりません)
・中盤出てきた理由に"カヨ"を使うのは奇妙ではないか(これではやっぱりカヨのためでしかないんじゃないかな、と……)
大きくはこんなところでしょうか。
感情に関する表現は上手いと思います。ただ"現代語訳"なるフィルターを通していますが(汗)。話の筋は多く評価があるようにありきたりだと思いますが、この長さで上手くまとまっていると思います。嫌いじゃないですよ。一般的に売られている作品と同じような書き方でなら、次作も読むかな、と。病院の先生はにくい演出だなぁと思ったのですが、どうでしょう?
あと、気になるのは、母親が主人公の現状を何処まで知っているのかということでしょうか。あの母親とのシーンは、それ次第で評価が分かれてしまいますので、"ぐっときた"とは一概にいえません。
ただ、申し訳ないけれど原文は読む気が起きません。評価されているのはその原作の文体そのものなのでしょうが、斬新というだけで評価に繋がったなどということはないと思いたいです。