あの人の書く小説は、いつも"喪失"を描きます。
失くすことがどういったことなのか。
それをただただ伝え続けるためだけに書いているのではないかと思うくらい。
そこには、切なさがあり、傍らに定番があるのです。
まとめて読むと、きっと飽きます。
映像化されて、ドラマになったとしても、きっと見飽きると思います。
それでもただ、"喪失"を書き続けるのです。
一番心に残ったのは、「きみの知らないところで世界は動く」。
NHKによってドラマ化されていたのをたまたま見たのですが、小説のほうが重く感じます。
あとは、「雨の日のイルカたちは」。
これは短編集ですが、最初の話が印象に残っています。
少しダークな内容ですが・・・。
あの小説が一番売れて、今でも覚えている人が多いと思いますが、それでも前者の「きみの─」がいいと思います。
あの小説より、こっちが売れてしかるべきだと思うくらいに。